基準率の無視

基準率の無視(Base Rate Neglect)は、判断や意思決定において、基準率という重要な情報を適切に考慮せずに判断を下す認知的なバイアスのことを指します。

基準率とは、ある特定の条件や背景下での事象の発生確率や頻度を示す情報です。例えば、「ある病気の発症率は全体の1%である」という基準率が与えられた場合、その情報は判断や意思決定において重要な役割を果たします。

しかし、基準率の無視が起こると、人々は基準率よりもより具体的な情報や個別の事例に重点を置き、それによって判断を下しやすくなります。具体的な事例や個別の情報は感情的に訴えることがあり、人々はそれに引きずられてしまう傾向があります。その結果、基準率に基づく合理的な判断や予測が阻害されることがあります。

基準率の無視は、確率の誤解やリスクの過大評価、迷信的な思考などと関連しており、認知バイアスの一つとして研究されています。このバイアスを克服するためには、基準率を正しく把握し、それを適切に判断に反映させるための意識的な努力が必要です。また、統計的な情報や客観的なデータに基づく判断を行うことも重要です。