人種効果

人種効果(other-race/cross-race effect)は、自人種顔の認識が他人種顔よりも優れている現象を指します。自分と同じ人種の顔にはより慣れ親しんでいるため、自人種顔をより正確に認識しやすいという効果が生じると考えられています。

自人種顔と他人種顔の認識の差異は、神経心理学認知心理学の研究によっても支持されています。自人種顔の方が他人種顔よりも全体的な処理に優れていることが示されており(Ito & Urland, 2005)、顔認識と関連が深いN170と呼ばれる脳の事象関連電位の振幅も自人種顔の方が大きいことが報告されています(Zhou, G. et al., 2018)。さらに、自人種顔は短い呈示時間でも正確な短期記憶表象を形成することができることが示されています(Zhou, X. et al., 2018)。

これらの研究結果から、自人種顔と他人種顔の処理には効率や精度の差があることが示唆されます。そのため、人種効果が生じ、自人種顔をより熟達した形で処理できるため、他人種顔の認識には課題や困難が生じると考えられています。